ハク・路上時代

保護主のA子さんが、募集記事のプラスになればと、
これまでの経緯を綴ってくれました。
必死なA子さんの思いが、どうか皆様にも伝わりますように。

ハクとの出会い

 ハクとの出会いは2003年の春くらいです。
 置き去りにされてしまったネコたちの餌場に鼻のクロい白黒オスが、ときたま現れるようになりました、それがハクです。どこから来たのかわかりませんでしたが優、チャコと同じくらいの若さに見えました。
 とりあえず去勢手術を受けさせようと捕獲を試みたのですが、捕獲機に体が入りきる前に前足を器用に伸ばしておとりのえさを取ろうとしたため、途中で捕獲機が閉じてしまい、おしりをはさまれてしまいました。
 それ以来、何度やってもうまくいかず、捕まったのは3ヵ月後のことでした。
 口内炎を発症してゴハンが食べられなくなっていた別の子を病院に連れて行きたくて仕掛けた捕獲機に、代わりにハクが入ってしまって、これ幸いに手術を受けさせることができたのでした。

 日がたつにつれ、何時の間にかキジトラのトラヨといっしょに現れるようになりました。
 2匹はとても仲がよく、パチンコ店やラーメン屋さんの脇の、人が入っていけない細い通路に住んでいる様子でした。雨の日も2匹は道を渡ってゴハンを食べにきました。先に食べ終わるハクはトラヨが済むまで少し離れて待ってはまた2匹で帰っていくのでした。

 2005年の秋、まきぼうさんの協力を得て、「繁華街ネコ」として7匹の猫たちの保護と里親探し活動が始まりました。
 トラヨ、ココ・ユキ、優、チャコはスムーズに捕まりました。ラブもすったもんだの末、1年後の2006年11月にようやく捕まり、里子に出ました。

 ナカヨシだったトラヨチャンをある夜突然に失って一匹残されてしまったハクは、それでも毎日のように通路の奥から現れました。パチンコ店横の植込みや乱雑に駐輪してある自転車やバイクのすきまでゴハンを食べて生き延びました。
 雨の日や捕獲機を見かけて警戒した後は数日現れないことがありましたが、ほぼ毎日食べにきました。後足をひきずって歩くようになり、なんとか早く捕まえて保護したいという人間の気持ちとは裏はらにハクの捕獲は難航し続けました。

 2007年に入り、ハクはゴハンで通路の奥に呼びかけると「アッアッ」と返事をするようになりました。
 少しづつ歩み寄りを感じながらも捕獲機に体を入れることはなかったハクが捕まってくれたのは、奇跡としかいいようがありません。
 しかし、あとはシアワセが待っていると喜んだのもつかのま、病院での検査でハクは猫FIVキャリアであると判明しました。
 腎不全になりかかっていることもわかりました。
 なにより驚いたことにはせいぜい4〜5歳と思われていたのに、10歳くらいであろうという診断でした。
 引きずっていた後足にはなんの支障もありませんでしたが、前足のニクキュウに免疫性のびらんがありました。

 隣のパチンコ店の自動ドアが開くたびにビクッビクッと、いちいちふり返り、通行人がのぞけば逃げ出し、駐輪の自転車が出入りする度に逃げ出し、他のえさばのネコが現れると何日も身をかくし、捕獲機が見えると逃げていき、なんにもないのに何度もうしろをふりかえってなにかを確認しながらゴハンを食べていたくらいこわがりで用心深いハク。
 正面からむかったケンカなどありえません。
 逃げても逃げても逃げ切れなかったときにやられての感染に違いないのです。

 やっとキケンのない暮らしに身をおくことができるようになりました。
 冷たいアスファルトを歩くにはただれたニクキュウがどんなに痛かったことでしょう。柔らかな室内ではいくらかいいでしょうと先生はおっしゃっていました。
 あとはこんなハクを大切に思ってくださる里親さまに、手をさしのでていただける日を願うのみです。
 どうかよろしくお願いたします。

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