その5
   

 だんだん体力ついてきてます。
 こないだは人の肩を踏切台にして、ジャンプ! みごと天井まで飛び、カーテンレールに着地しました。
 わたしの肩にはざっくり深い爪痕がついて、数日ヒリヒリしてました。

 ミミはわたしの膝が好きです。
 神経質なダヤンはミミに気を遣い、膝に乗れなくてイライラします。
 ミミに媚びて一緒に乗ってくることもあり、キレてケンカふっかけてミミ追い出して、膝を占領することもあります。だけど、じっとしてられない性格なので、膝に来てもしばらくすると、どこかへ去ってしまいます。
 するとまたミミが現れて、おっとりマイペース顔して膝に乗ります。

 ダヤンは押し入れが好きです。わたしにも一緒に入れとせがみます。せせこましい密室で、ミミとわたしと三人で丸くなりたいらしいんですが、人間に押し入れは、ちとツラいです。背中も肩もおしりもバリバリに痛みます。
  1時間くらい添い寝して撫でてると熟睡してくれるので、わたしはそーっと押し入れを出ます。でもたいていは気付かれて、「押し入れに戻れ!」とダヤンに叱られます。

 ミミは最近、「持ってこい」という芸を覚えました。
 ゴハンとかオモチャとか、欲しいものがあると目で訴えてきます。わたしがそれを持ってってやると、「よしよし」というふうにニャンと鳴きます。 芸をしてるのは猫でなく、人間のほうです。

 先日、獣医さんに言われました。
「んー、顔もきれいだし、心配ないでしょう」
 風邪で来院してるんだから「きれい」とは、目やにや鼻くそがなくて汚れてない、という意味です。
 が、わたしは舞い上がってしまいました。
「ええもう、顔だけが取り柄なんですよ頭は悪いけどっ!」
 言ってしまってから、カンチガイに気がつきました。
 頭が悪い飼い主で・・・。

 

 母猫ハナちゃんはその後、いつのまに戻ってきて、管理人ご夫妻の猫になりました。
 もう出産してもらうわけにはいかないので避妊手術して、りっぱな飼い猫の体になりました。
 いまだにわたしを覚えてて、目が合うとゴハンの催促してくれます。でもハナちゃんには、ずっとマンションにいてほしいから。もっと管理人さんご夫妻になついてほしいから。わたしはハナちゃんにだけは、ゴハンをあげません。
 今日もハナちゃんは、ベランダで気持ちよさげに昼寝してます。
 猫って、いいなぁ・・・。