その23
   

 事態が急転したのは、同年の12月です。良い事と、悪い事が、同時に起きました。

 良い事は、ある夜いきなり、人間ベタ慣れの甘えんぼに変身したことです。数日前からその兆候はありました。うちのボス猫の翠のことが好きで、いままで見せたことのない甘えた仕草を翠へしてみせていました。顔をすりつけて毛づくろいをせがんだり、かまってほしくて後を追ったり、おなかをみせて転がったり。
 なんとか翠に便乗できないものかと、後ろから近づいて、翠のふりして撫でたりしてましたが、そのたびミッキーに怒られていました。いまにして思えばあの時期は、甘えんぼの新生ミッキーが産まれる、前触れでした。
 12月初め、ミッキーが、翠ではなくわたしを見てました。なでてほしそうに頭を家具のかどにこすりつけ、くねくねしているので、なでてみました。ずっと彼のなかで燻っていた火種が、そのとき、爆発しました。
 奇跡でした。あんなにも激しい人間大嫌いっ子だったのに、24時間一緒にいたがる、甘えんぼに豹変したのです。

 同時に、悪い事も起きました。その2週間後に、ミッキーの容態が急変、危篤になって、病院に担ぎ込まれました。
 最初に腎不全だと聞いてた先入観から、裏にあるものを見落としてました。腎不全は二次的なもので、本当の病根は、骨髄性白血病でした。わたしがもっと早く気付き、検査すべきだったのに、怠っていました。腎不全自体の数値はそれほど悪くなかったので、脱水で危篤になるまで、気付きませんでした。
 担ぎ込まれてからは毎日通院して、検査と治療をしつづけました。かかりつけの獣医さんが、正月も休まずミッキーを支えてくださいました。
 入院させ、皮下点滴でなく静脈点滴で集中治療をすれば、もうすこし延命できたかもしれません。でもミッキーは病院嫌いで、ママが大好きです。ママと離れてまでの延命は、無意味に思えました。なので最後まで、通院と自宅療養のみでした。

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